ハワイにもサクラが咲く場所があるのをご存知ですか?
それは、オアフ島のちょうど真ん中にある
「Wahiawa(ワヒアワ)」という町にあります。
この辺りの土は赤土で、鉄分やミネラルが豊富なため、
パイナップルの栽培に適していました。
20世紀にパイナップル産業が盛んになると、
ワヒアワは「パイナップルの町」と呼ばれる
ようになりました。
– なぜワヒアワにサクラがあるのでしょうか?–
それは、ワヒアワは日本からの移民が多かったからなんです。
ハワイでの楽園生活を夢見て、沖縄などからやってきた
多くの移民たちは、過酷な労働のうえ、
祖国に帰る事もままならず、故郷を思いながら、
この地でたくましく生き抜き、次の世代へと
命を繋いでいきました。
その証がサクラ。
人口1万7千人の小さな町の中心を走る
「カリフォルニア・アベニュー」沿いには、
多くの日系人が住んでいた証が今も残っています。
日本ではソメイヨシノが一般的ですが、
ワヒアワに咲くサクラは、温暖な台湾、
沖縄や奄美で見られる寒緋(かんひ)という種類。
色はピンク色で、ソメイヨシノのように
一気に花を開くという感じではなく、
ゆっくりと時間をかけて花を咲かせます。
そして、花びらが個々に散るのではなく、
プルメリアのように花がそのまま落ちます。
サクラの種類からも、
沖縄からの移民が多かったことがわかりますね。
12月末から2月がサクラの季節ですので、
今がちょうど見頃のようです。
私が以前訪れたのは12月末でしたので
まだあまり咲いてはいませんでしたが
ポツリとピンク色の花を咲かせていました。
– では、なぜサクラが南国ハワイで育つのでしょうか?-
それは、ワヒアワがオアフ島で一番気温が低い場所であるからなんです。
標高287mのワヒアワは、ハワイでも冬は比較的涼しくなり、
サクラが育つのに適しているそうです。
カリフォルニア・アベニューを行き止まりまで
ゆっくり車を進めていくと、民家の庭や、
お寺の境内、公園や学校の沿道沿いにポツポツと
サクラを見ることができます。
サクラの気が植えられている家は日系人の家だということがすぐにわかります。
(ちなみにフィリピン系のお宅はワサビの木が植わっているそうです。)
トロリーでワヒアワの町を回りながらサクラを見る
というツアーもあるそうですから、
参加してみるのもいいかもしれません。
近年、ワヒアワのサクラ並木を作る協会が立ち上がり、
日本領事館やハワイ州の政府をはじめとした
色々な援助が加わり、昨年の2月にワヒアワの
「ハレマノ・プランテーション」というところに
「高知県のセンダイヤ桜」の苗木が12本植えられました。
そして、これをスタートに昨年100本ほどが植樹されたそうです。
ワヒアワがサクラの町になる日が将来やってくるのも楽しみです。
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